2011/05/02

[北陸その3]キャッスルイン金沢の若き取締役は男前である。女性だけど。

 
 前々回の記事「山下家512号室」の投稿直後、「山下家 号室」という妙な検索ワードでの閲読があった。山下家か、大江戸温泉物語の関係者によるものと推測している。
 企業の広報担当者やマーケティング担当者にとって、SNSやブログで自社についてどんな書き込みがなされているか調べるのは普通の仕事だ。山下家、仕事してるじゃないか。肝心なところ以外で。

 前置きが長くなったが北陸紀行第3回はキャッスルイン金沢という、JR金沢駅すぐ近くのホテルの話。北陸で引っ張りすぎという声もあるので今回で終わり。

 藤橋由希子さんという。僕よりずっと若いが、キャッスルイン金沢の取締役である。いわゆるオーナー一家の人だ。

 このホテルは東日本大震災発生の6日後、1室1泊2500円という採算度外視価格で被災者受け入れを発表した施設だ。どこからの要請も補助もなく、周囲の同業も誰一人そんなことをしていない中で、受け入れを言い出したのが藤橋さんである。

 震災直後、テレビで避難所の様子を見て涙が止まらなかったという。ろくな食事もなく風呂にも入れないまま寒い体育館で過ごす被災者。自分たちに何かできるかを考えた結果だった。慣れないニュースリリースを自ら書き、報道経験者の知り合いに添削してもらって3月17日に受け入れを発表した。直後から取材が殺到し、自らテレビカメラの前にも立った。

 地元メディアが中心だったが、取り組みを知った人が東北に連絡するなどして、被災した家族連れなどが次々訪れる。また、メディアを見た地元住民から物資寄付などの申し出が矢継ぎ早に舞い込んだ。ホテルには連日、衣類や生活雑貨が届いた。

 役所の罹災証明書がなくても、何か住所を証明できるものがあればOKとした。「被災者でない人が偽って泊まりに来るかもしれない」という意見もあったが、「着の身着のまま逃げてきた人に書類入手の手続きを求めていては受け入れに時間がかかりすぎる」と押し切った。

 その頃の様子は、藤橋さんが書いている以下のブログに詳しい。

キャッスルイン金沢・被災者受け入れに関するブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/castleinn/diary/201103170000/
ホテルの公式サイト
http://www.castle-inn.co.jp/index.html

 サイトでは「ゆっきぃ」という可愛らしいニックネームで登場する。しかし、本人はもうちょっとエネルギー溢れる雰囲気である。

 藤橋さんは生まれも育ちも金沢とのこと。ホテル業は決して楽ではないと思うが、地方の若い経営者というだけで期待をしたくなるのであった。
 

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